投資スタイルは人それぞれですが、大まかに分けると、短期売買で価格変動を狙うか、長期保有でトレンドに乗ってリターンを得るかの二つの選択肢があります。

「ポジション」という言葉は、一般的には実際に購入して保有している資産、つまりロングポジションを指すことが多いですが、実際にはロングとショートの両方を含みます。たとえば株を空売りする場合、それはショートポジションと呼ばれます。ただし、国内市場で空売りができない環境であれば、ショートポジションの概念はあまり当てはまりません。

ポジショントレードは、中長期的な戦略であり、デイトレードとは対極にある手法です。ポジショントレーダーは短期的な価格変動を無視し、代わりにファンダメンタル分析や長期トレンドを重視して利益を狙います。

ポジショントレードの核心とは?

先ほど述べたように、トレード手法には大きく分けて二つあります。一つは、日中の価格変動を利用して売買を行うデイトレードです。

もう一つがポジショントレードです。こちらは明確な長期的計画を立て、数週間から数ヶ月にわたってポジションを保有し、価格が大きく動くのを待つスタイルです。

ポジショントレーダーになるには、忍耐力が必要です。日々のノイズのような価格変動には動じず、長期的な価格の変化から大きなリターンを得ることを目指します。

この戦略は、相場がトレンドに従って動くという前提に基づいています。ポジショントレーダーは、この長期トレンドを捉えることを目的としています。

ただし、トレーダーは小さな損失を受け入れる覚悟と、損切りを行う戦略が求められます。

忍耐力が最も重要です。必要であれば潔く撤退することも大切ですが、最初に設定した利益目標(たとえば価格が何パーセント動いたとき)を目指して、計画に従って行動することが求められます。

ポジショントレードは儲かるのか?

明確な上昇トレンドや下降トレンドがあるときには、その流れに乗るのが最善です。ポジショントレードはトレンドに大きく依存しています。しかし実際のところ、市場の多くはトレンドが出ていない横ばいの期間の方が長いものです。そのようなときには、ポジショントレードの選択肢は限られ、ポジションを保有し続けるか、相場から一時撤退するしかありません。

つまり、誰もがポジショントレードで利益を上げられるわけではありません。トレンドの捉え方は人それぞれです。ただ、デイトレードのような短期売買と比較すると、ポジショントレードの方が成功する確率は高いと考えられています。落ち着いたペースでトレンドを追う戦略の方が、多くの人にとって有効かもしれません。

ポジショントレードは自分に向いているのか?

トレードで成功するためには、自分の性格やライフスタイルに合った戦略を選ぶことが重要です。

長期戦略に必要な時間やエネルギーを割くのが難しい人もいます。仕事や家庭の事情で、頻繁に相場をチェックできない場合、ポジショントレードは市場を四六時中監視する必要がなく、自由度が高くなります。

また、ポジショントレードは他のスタイルよりも意思決定に使える時間が長く、慌てて売買する必要がないという利点もあります。

相場のプレッシャーにストレスを感じる方にとって、ポジショントレードはより落ち着いた手法となり得ます。

ポジショントレードのメリットとデメリット

すべてのトレード戦略は、特定の条件下で最大限の効果を発揮することを目的としています。

しかし、完璧な戦略は存在しません。採用する前に、しっかりとその利点と欠点を理解しておく必要があります。

■ ポジショントレードのメリット:

  • ストレスが少ない:短期トレーダーのように常に相場を監視する必要がありません。
  • 大きな利益の可能性:長期戦略により、大きなトレンドに乗ることで大きなリターンが期待できます。
  • 時間の効率化:頻繁な分析が不要なため、他の取引や業務にも時間を充てられます。

■ ポジショントレードのデメリット:

  • 多額の資金が必要:少額の資金では難しく、大きな価格変動があると資金が吹き飛ぶ可能性もあります。
  • 資金が拘束される:ポジションを長期間保有するため、流動性が低下します。
  • コストがかさむ可能性:保有期間が長くなると、手数料やスワップコストなどの追加費用が発生します。

デイトレードやスイングトレードと比べてリスクは低いかもしれませんが、ポジショントレードの失敗は金銭的にも時間的にもダメージが大きくなりがちです。トレンドに逆らうことは避けるべきです。

サポートラインとレジスタンスラインの重要性

ポジショントレーダーは、サポートライン(支持線)やレジスタンスライン(抵抗線)を活用することで、トレンドの継続や反転を予測しやすくなります。

この分析を基に、いつポジションを取るか、あるいは決済するかを判断できます。

これらのラインはチャートパターンの読み取りに役立ち、長期ポジションの維持において非常に有効なスキルです。

短期的なサポートラインが形成される場合もありますが、長期的なサポートラインは数年にわたって有効なこともあります。

レジスタンスラインは、価格がなかなか超えられないポイントを示します。

ポジショントレーダーは、このようなレジスタンスラインに達したタイミングで利益確定を行い、価格の下落に備えることがあります。

同様に、長期的な上昇トレンドが見込まれる場合は、過去のサポートライン付近で買いのポジションを取ることもあります。

ポジショントレードに適した市場

ポジショントレードの大きな利点は、様々な市場で柔軟に応用できる点です。

■ 株式市場
ポジショントレーダーに最も人気のある市場です。個人投資家は、頻繁に売買せず、年単位でのリターンを目指すケースが多いです。
また、テーマ投資にも適しており、政府の政策によって特定企業の業績が向上するといったシナリオが狙えます。

■ 商品先物市場
商品の価格は需給バランスに大きく左右されます。CTAなどのプロのトレンドフォロワーにとっては、最も好まれる資産クラスの一つです。
例えば干ばつなどの外的要因が需給を崩し、長期的なトレンドを生み出すことがあります。

■ 外国為替市場(FX)
一般的には短期トレードのイメージが強く、デイトレやスイングトレードが主流です。
ただし、FX市場は常に新しい経済・政治イベントが発生しているため、中期的なポジションを取る機会も多くあります。

■ 株価指数CFD
株価指数は複数の銘柄で構成されているため、個別要因ではなくマクロ経済の影響を受けやすい特徴があります。
強気相場に乗りたいときや、弱気相場を見込んで指数を空売りしたいときに、ポジショントレードとして活用できます。

ポジショントレードのリスクは?

一見すると、ポジショントレードは短期トレードよりも簡単で安全に思えるかもしれません。

一般に、取引時間が短いほど、相場の急変や予期せぬイベントに対応する時間が少なくなるため、リスクが高くなります。

一方、長期的な投資はゆっくりと展開し、予測がしやすいというメリットがあります。