CFDでは実物を保有する必要がないため、さまざまな資産で取引が可能です。
2.1 株式CFD
株式CFDの大きな利点は、企業の株を簡単にロングまたはショートできる点です。これは従来の株式取引では難しいことが多く、特に国内投資家には不利です。米国株CFDや香港株CFDは特に人気です。ただし、実際に株式を保有しているわけではないため、配当は受け取れません。
2.2 為替CFD(FX CFD)
外国為替市場は世界最大級の金融市場であり、CFDを通じて通貨ペア(例:EUR/USD、GBP/JPY)で取引できます。取引は非常に流動性が高く、市場のボラティリティから利益を得ることができます。レバレッジの利用も一般的で、利益も損失も大きくなる可能性があります。
2.3 仮想通貨CFD
「仮想通貨契約」として知られることもある仮想通貨CFDは、短期間で巨額の利益または損失を生むことがあります。仮想通貨の価格は極めて変動性が高く、一部のプラットフォームでは高レバレッジが提供されているため、少額の元手で大きなリターンを得るケースも存在します。
CFDのレバレッジ
レバレッジはCFD取引の核となる特徴です。これにより、少ない資金で大きなポジションを取ることが可能になり、小さな値動きでも大きな利益(あるいは損失)を生み出します。
レバレッジの比率はプラットフォームや資産の種類によって異なります:
- 為替CFD:30倍〜最大100倍の高レバレッジ
- 株式CFD:5倍〜20倍程度の中レバレッジ
- 仮想通貨CFD:ボラティリティが高いため、2倍〜5倍程度の低レバレッジが一般的
規制当局もレバレッジに影響を与えています。たとえばEUでは、欧州証券市場監督局(ESMA)が個人投資家向けにレバレッジ制限を設けており、為替CFDは最大30倍、仮想通貨CFDは2倍までとなっています。
CFDの取引手数料
CFD取引では、多くの人が「プラットフォームが取引の相手方になる」と誤解していますが、実際にはプラットフォームはマッチングサービスを提供するだけで、あなたの損失がプラットフォームの利益になるわけではありません。例えるなら、テンセントがLoLでプレイヤー同士をマッチングさせるような役割です。
プラットフォームの主な収益源は以下のとおりです:
スプレッド
スプレッドとは、買値(Ask)と売値(Bid)の差です。プラットフォームは、実際の市場価格よりもやや高い買値と、やや低い売値を提示し、その差額で収益を得ます。スプレッドは通常pips(ピップス)で表されます。
例:
- EUR/USDが市場で1.1000のとき
- Ask: 1.1002
- Bid: 1.0998 → スプレッドは4ピップス
1ロット(100,000通貨)購入した場合:
- 買値: $110,020
- 即座に売却すると: $109,980
- スプレッドコスト:$40(ポジションオープン時に差し引かれる)
スプレッドは資産ごとに異なり、為替は流動性が高いためスプレッドが小さく、株式や仮想通貨では大きくなる傾向があります。
オーバーナイト費用(スワップ)
ポジションを翌日に持ち越す場合、オーバーナイト費用(スワップ、ロールオーバー)が発生します。CFDはレバレッジ(借入資金)を利用するため、未決済ポジションに対して金利がかかります。
例:
- ポジション:EUR/USDを1ロット買い
- 為替レート:1.1000
- レバレッジ:30倍
- オーバーナイトレート:-0.01%
- 名目取引額:$110,000
- 必要証拠金:$110,000 ÷ 30 = $3,666.67
- スワップ費用:$110,000 × -0.01% = -$11 / 日
この費用は毎営業日の終値時点で発生し、ポジションをクローズするまで続きます。
CFDとオプションの違いは?
CFDとオプションはどちらもデリバティブですが、仕組みや用途は異なります。オプションははるかに複雑です。
オプションを買うと、将来のある時点で、特定の価格で資産を「買う・売る」権利(義務ではない)を得られます。たとえば「テンセント株を1年後に1株あたりHKD120で買う権利(コールオプション)」を購入する場合、市場価格がHKD180なら権利を行使して得しますが、HKD90なら権利を放棄して支払ったプレミアム(保険料)だけ損失となります。
オプションはリスク管理・ヘッジ目的で使われることが多く、CFDはより攻撃的で、短期トレードや高リスク志向のトレーダー向けです。
CFD取引は合法?
CFD取引はすべての国で合法というわけではありません。たとえば中国本土では禁止されています。多くのCFDプラットフォームは、CFDが合法な国に登録されています。
- ヨーロッパ:合法。ESMAが規制しており、レバレッジ、広告、投資家保護に厳格なルールがあります。
- オーストラリア:合法。ASIC(オーストラリア証券投資委員会)が規制し、高レバレッジかつ透明性の高い取引環境が特徴です。
- アメリカ:個人投資家向けには違法。CFTC(商品先物取引委員会)は米国居住者によるCFD取引を禁止しています。