超短期トレーディング(英語で「デイトレーディング」とも呼ばれます)とは、同じ取引日内で株式を売買し、短期的な価格変動から利益を得ることを目的とした取引スタイルです。本日は、代表的な超短期トレーディング戦略について紹介します。
トレンドフォロー戦略の概要
トレンドフォロー戦略は、市場の価格が示す全体的な方向性に基づいて売買を行う手法です。この戦略では、現在のトレンド(上昇・下降・横ばい)を特定し、その方向に沿って取引を行います。トレンドの初期段階でポジションを取り、できる限り長く保有し、トレンドが反転または終了したと判断した時点で決済することで、利益の最大化を狙います。
この手法の基本的な前提は以下の通りです:
- 市場価格は一定期間、特定の方向(上昇・下降・横ばい)に動く傾向がある
- 一度トレンドが形成されると、明確な反転シグナルが現れるまでその傾向は持続しやすい
- 投資家の行動パターンや心理的なバイアスにより、価格には勢い(モメンタム)があり、すぐには反転しにくい
モメンタム戦略とブレイクアウト戦略
モメンタム戦略は、価格の勢い(スピードと方向)に注目する手法です。強い上昇モメンタムを持つ銘柄を買い、モメンタムが弱まる前に売却します。
モメンタム戦略の実行方法:
- モメンタムの特定:
RSI(相対力指数)、モメンタムインジケーター、移動平均線(MA)などのテクニカル指標を使用して価格の勢いを評価します。 - エントリー条件の設定:
例えば、RSIが70を超えたときや、短期移動平均(10日線など)が長期移動平均(50日線など)を上抜けたときに買いを検討します。 - エグジット条件の設定:
RSIが特定水準を下回ったとき、または短期MAが長期MAを下回ったときなど、モメンタムの減速時に売却します。 - 損切りの設定:
予想外の反転に備え、すべての取引にストップロスを設定します。
ブレイクアウト戦略は、重要なサポートラインやレジスタンスラインを価格が突破する瞬間に注目します。ブレイク時には取引量が増加することが多く、新しいトレンドの始まりを示唆することがあります。
実行ステップ:
- 重要なサポート/レジスタンスの特定:
過去のチャートを用いて、価格が何度も反発・反落したポイントを確認します。 - 出来高の監視:
ブレイク時には出来高の急増が見られることが多く、市場の合意を示します。 - エントリー条件の設定:
レジスタンスを出来高を伴って上抜けたら買い、サポートを下抜けたら売りを検討します。 - エグジット条件の設定:
新たなサポート・レジスタンス、もしくは移動平均線やボリンジャーバンドなどのテクニカル指標を基に決済判断を行います。 - 損切りの設定:
直近のサポート・レジスタンス近くにストップロスを置き、リスクを管理します。
フィボナッチ・リトレースメント
フィボナッチ・リトレースメントは、主にサポートおよびレジスタンスの水準を特定するために使用されるテクニカル分析ツールです。23.6%、38.2%、50%、61.8%、78.6%といったフィボナッチ比率に基づき、価格がトレンドの途中で一時的に反転する可能性のある水準を示唆します。中長期の分析に用いられることが多いですが、近年では短期・超短期取引にも活用されています。
フィボナッチを使った短期トレーディング手法:
- 重要な高値・安値の特定:当日の取引開始後に出現した直近の高値・安値、または前日の高値・安値を基準にします。
- リトレースメントの描画:取引ツールのフィボナッチ機能を用いて、高値から安値(またはその逆)に向けてリトレースメントを描きます。
- 注目すべきリトレースメントレベル:23.6%、38.2%、50%、61.8%、78.6%の水準は、短期的なサポート・レジスタンスとして意識されやすいです。
- トレード戦略:例えば、価格が38.2%や61.8%の水準まで戻した際に、反転シグナルが現れればエントリーを検討します。
- 損切り・利確ポイントの設定:フィボナッチレベルを基にストップロスや利確ポイントを決定します。たとえば、61.8%の水準で反転の兆しが出た場合、次のレベルの下に損切りを設定しエントリーすることが考えられます。