KDJ指標(ストキャスティクス・オシレーターとしても知られる)は、モメンタム系のテクニカル指標で、一定期間における終値と価格レンジ(最高値と最安値)の関係を測定します。3本のライン(Kライン、Dライン、Jライン)で構成され、相場の「買われすぎ」や「売られすぎ」、さらには転換点を捉えるのに有効なツールです。

KDJの計算方法

KDJの計算手順は以下の通りです。

ステップ1:RSV(Raw Stochastic Value)の計算

式:
RSV =(当日終値 − 過去N日間の最安値) ÷(過去N日間の最高値 − 最安値) × 100

ステップ2:K値の計算

式:
Kₙ = (2/3 × Kₙ₋₁) + (1/3 × RSV)

ステップ3:D値の計算

式:
Dₙ = (2/3 × Dₙ₋₁) + (1/3 × Kₙ)

ステップ4:J値の計算

式:
Jₙ = (3 × Kₙ) − (2 × Dₙ)

通常、Nには9日が使用されます。

KDJの実践的な読み方

買われすぎ・売られすぎの判断

  • K > 80 且つ D > 70:買われすぎの可能性(売りシグナル)
  • K < 20 且つ D < 30:売られすぎの可能性(買いシグナル)

ゴールデンクロス・デッドクロス(交差シグナル)

  • KがDを下から上にクロス:特に売られすぎゾーンでは買いシグナル
  • KがDを上から下にクロス:特に買われすぎゾーンでは売りシグナル

Jラインの鋭敏さ

  • Jが急騰:強い買いの勢いを示す
  • Jが急落:売り圧力が高まっている可能性

ダイバージェンス(逆行)

  • 弱気ダイバージェンス:価格が新高値を更新、KDJが追随しない → 下落の兆し
  • 強気ダイバージェンス:価格が新安値を更新、KDJが下げない → 上昇転換の可能性

トレンド確認

  • KとDが50以上:上昇トレンドの可能性
  • KとDが50未満:下降トレンドの可能性

計算例

9日間のKDJを仮定:

  • 当日の終値:100
  • 過去9日間の最高値:120
  • 最安値:80
  • 前日のK:40
  • 前日のD:30

ステップ1:

RSV = (100 − 80) ÷ (120 − 80) × 100 = 50

ステップ2:

K_today = (2/3 × 40) + (1/3 × 50) = 43.33

ステップ3:

D_today = (2/3 × 30) + (1/3 × 43.33) = 35.56

ステップ4:

J_today = (3 × 43.33) − (2 × 35.56) = 55.49

→ K・Dが上昇し、Jがその上にある場合、市場は上昇傾向にあると判断されます。

KDJとMACD・RSIの組み合わせ

KDJ単独ではダマシもあるため、MACDやRSIとの併用が推奨されます。

MACDとの組み合わせ

  • 買いサイン:MACDがシグナルライン(DEA)を上抜け
  • 売りサイン:MACDがシグナルラインを下抜け

ヒストグラムの見方:

  • プラス棒が増加 → 上昇モメンタム強化
  • マイナス棒が増加 → 下降モメンタム強化

RSIとの組み合わせ

  • RSI > 70:買われすぎ(反落注意)
  • RSI < 30:売られすぎ(反発の可能性)
  • RSI > 50で上昇中:相場は強い
  • RSI < 50で下降中:相場は弱い

総合シグナル例

強い買いシグナル(すべての指標が一致)

  • MACDがシグナルラインを上抜け、ヒストグラムがマイナスからプラスへ転換
  • RSIが30以下から上昇、もしくは50を超えて上昇中
  • KDJでKがDを下から上にクロス(20以下のゴールデンクロス)、Jが急上昇
  • 出来高が増加

強い売りシグナル

  • MACDがシグナルラインを下抜け、ヒストグラムがプラスからマイナスへ
  • RSIが70以上から下降、または50を下回る
  • KDJでKがDを上から下にクロス(80以上のデッドクロス)、Jが急落
  • 出来高が急増