金融市場において、高頻データの分析は、特に取引判断やミクロ構造の分析において、重要な研究手法となっています。以前の記事ではティックデータの概念について詳しく説明しましたが、精密な市場分析を行うには、ティックデータの種類を理解することも同様に重要です。今回は、さまざまな高頻データの種類とその用途について紹介します。

クオートデータとトレードデータ

トレードデータは比較的わかりやすいものです。たとえば株式市場では、すべての取引が取引所で行われ、その取引所が正確に取引データを記録し、「ティックデータ」としてまとめます。このデータは、ローソク足(K線)チャートなどに変換して使われることもあります。ティックデータは、ある瞬間における株式の正確な取引価格と取引量を示しています。つまり、株式市場のティックデータを見ることで、実際に成立した取引の結果を把握できます。各ティックは1件の取引の実行を表しており、価格と数量の情報が含まれています。このような透明性の高いデータは、アナリストやトレーダーが銘柄の実勢価格を正確に評価し、それに基づいて取引判断を行うのに役立ちます。

一方で、外国為替(FX)市場は、主にクオートデータに依存しています。これらのクオートは実際の取引を伴っているわけではなく、市場参加者が売買を希望する価格を示しているにすぎません。FX市場は分散型で、株式市場のように中央取引所がすべての取引を記録する仕組みはありません。いわゆる店頭取引(OTC)市場に分類され、大手銀行や金融機関、個人投資家などが直接取引を行います。そのため、FX市場のデータは、実際の取引価格ではなく、提示されるクオートが中心となります。これらのクオートは、マーケットメイカーによって提示され、通貨ペアの買値(Bid)と売値(Ask)が含まれています。ただし、実際の約定価格はこのクオートとは異なる場合があります。

マーケットメイカーが提示するクオートは市場に流動性を提供し、トレーダーがいつでも売買できるようにしています。ただし、これは同時に、トレーダーが実際のトレードデータではなくクオートに基づいて価格を判断しなければならないということでもあります。特に相場が急変する場面では、BidとAskのスプレッドが大きくなり、取引コストや戦略の有効性に影響を及ぼす可能性があります。

完全記録型と部分記録型

ティックデータは、その記録の完全性に基づいて「完全記録型」と「部分記録型」に分類されます。

完全記録型では、取引所がすべての取引とすべてのクオートの変化を詳細に記録します。時間、価格、取引量、買気配・売気配のすべてが含まれ、高い市場の透明性が確保されます。ニューヨーク証券取引所(NYSE)やシカゴ・オプション取引所(CBOE)など、主要な国際取引所がこの方式を採用しています。欠点としては、データベースのサイズが非常に大きくなり、整理やクレンジングに手間がかかる点です。

部分記録型では、前回の取引と同じ価格であれば、新たに記録されません。価格が変動したときのみ、上昇・下降のいずれかに応じて新しいデータが記録されます。シカゴ商品取引所(CBOT)やシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)では、この方式が採用されています。この方式は価格変動に注目しており、特定の資産や取引戦略においては、すでに十分な情報となります。また、データ量が抑えられるため、保存や管理も簡単になります。

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